iBooks活用を考える
たぶんiBooksって最も期待はずれに思った人が多いAppではなかろうか。将来化ける要素とか秘めたパフォーマンスがあってもザ・キング・オブ・宝の持ち腐れ。それ故かこの記事のiBooks活用は面白く感じた。
[ ウェブや青空文庫をiBooksで読む!! : ZONOSTYLE ]
なるほどこんな便利なツールもあるのね。Pagesで整形してePub形式にして...より手間は無くて良いかも。ただ、サイトならRSSリーダーのほうが良い気もするかな。Automatorを使ってクリック一発で出来るのなら別だけど。
ちなみに縦書きにそんなには拘りはなかったり。語弊があるかもだけどワタクシ縦書きは好きだし普段使いするし文化として重要だと思うけども。古典や近代文学とかなら欲しいけど最近の小説などは横書きのほうが読みやすいと感じるくらいなので、何故皆がそのように「縦書きたてがきタテガキ」と口酸っぱく連呼しするのか正直理解できなかったり。
こうなるとますます語弊が生まれそうだな。
電子書籍の表現はルビも含めてきっちりとサポートされる「べき」だとは思ってる。ただよくある記事のように、電子書籍と紙書籍との比較として優位性に「縦書きのサポート」は関係無いと思うのよね。日常で90%以上で縦書きでも使ってるとかあらゆる表現に必需の文化とも言えない生活をしてるのに海外仕様が縦書きをサポートしない事を駄目出しにあげるには「弱い」と思う次第で。
Unicodeの反省じゃないけど、そゆこと言う前に規格策定の場に参画するとかロビー活動するとか国産で国際規格を主導するとかそれくらいのコミットをしていかないと。
紙の優位は可読性、記録性、汎用性くらいと思っていて。記録性は保存性とも思ったけど保管場所と被るのでちょっと違うかな。自分でさくっと書き足したり、切り貼りしたりという意味で。 縦か横かがソレにどう作用するのか全く理解不能だわ。
海外からの電子書籍の波を黒船みたいな扱いで保存性や縦書きを理由にこき下ろす暇があったら旧態依然とした国内(電子)書籍の流通をなんとかしようよ。
話が横道に逸れたけど、そんなこんなで今のところ日本の電子書籍にはまったく期待がしていない。限定的なリーダーや雑誌・出版社の専用アプリが並んで混乱するくらいなら出来る範囲で我慢するかな。
そんなわけでiBooksになんか転送して遊ぼう。
スキャンすんの大変かな。
追記
少し自炊に挑戦してみた。本当なら、そこそこ安ければiBooksなりの電子書籍ストアで売ってくれた方が例え既に所持している同じ本の買い直しでも自炊の手間かける時給で考えたら安上がりなんだけども。
しかし、ネットを見ると裁断機を買ったりと本格的な方々が多いこと。自炊勢の熱量を甘く見ていたかもしれない。
それについつい高解像度でスキャンした画像をPDFにしてるので容量がでかくなる。文字中心の実用書とかならOCRを活用出来るけど、逆にそういうのは今のところ電子書籍よりも紙をめくりながら作業を進めたりするほうが効率が良くて。場所をとりたくないのは圧縮の難しい漫画が中心というジレンマ。
てなもんで、漫画の自炊から考えてみた。先に書いた通りラスタデータを拡大しても奇麗したくば高解像度で容量くっちゃう。だったらベクター化したらいいじゃない! そんな単純な思いつきでちょっと実験する事に。
自分流の自炊を考えるのに気をつけたいのは以下のたった2点。
- できるだけ手間をかけない
- できるだけお金をかけない
自炊作業が面倒になっては元も子もないので、取り込み方とか変換の設定は控えめというか最低限に留めておくように、手間をかけるのは妥協点を探っていく一番最初の作業だけにしたいと思う。
墓場まで持っていくんじゃないんだし、読めれば良いのだ、読めれば。Acrobatの文字認識を使えばだいぶコンパクトには出来るらしいがAcrobatを買い直すのもな。4.0を持っているけどアップグレードはやめておきたい...というかもう出来ないので、OS標準のプレビューでなんとかならないものかと。
スキャナーは格安だった手持ちのCanon CanoScan 5200FとCanoScan toolbox 4.9を使う。今回改めて用意したのはベクター化に使うフリーソフトウェアのCocoapotraceのみだ。
入手済みだったけど念のために確認したら掲載先のwebサービスは終了していて、今の入手先はどうやらこちらに移動しているようで。URLからするとここも暫定かもしれないけどね。
流れとしてはこんな感じ。
これAutomatorで自動化できんかな?
- スキャナのらくちん設定でがーっと取り込む(TIFF)
- Cocoapotraceのバッチ処理でどーんとベクター化(EPS)
- 念のため出来をちらっとだけ確認
- EPSを順番通りにプレビューでまとめて表示
- プレビューのサイドバーにあるサムネイルを全選択
- 「ファイル」の「選択したページをプリント」を実行
- プリントダイアログの「PDF」から「PDFとして保存」を実行(PDF)
画質はこんな感じに。*1
右が取り込んだグレースケールのTIFF、左がベクター化したPDF。*2
とりあえず単ページで試してみたところ 2000 x 3060 pixel / 6.1MB のTIFFが、ベクター化で 1.1MB のEPSとなり、PDFにしたところ 3.2MB に太ってしまった。
TIFFからJPEGにしたところ80%で3.6MB、JPEG2000でも3.1MB、iBooksで読める電子書籍というだけで圧縮効果はそれほど期待できない結果に。(予想はしていたけども)
別の16ページものを変換してみたら、約 1900 x 3000 pixel / 1.3〜1.7MB のJPEG画像16点合計25.7MBが、EPS時に17.6MB、PDFでなんと59.5MBと激太り。
うーん、デカ過ぎ。
頭の中に「みんなのうた」の「ご苦労サンバ」が巡る。
せつかく痩せたと思ったらー、LLサイズにかえなくちゃー。
やはりなんか工夫しないと駄目っぽい。あと少しだけ考えてみて次に試して駄目なら自炊を諦めて全部捨てる。そのうち、全部ネットで丁寧に最適化された電子書籍になって買える事を夢見つつ。
【とりあえずのまとめ】
それでもベクター化自炊をするならば的な利点をあげるとしたらこんな感じ。
- ベクターなんで当然ながら拡大縮小に強い
- PostScriptなんだからデバイスを選ばない(PDFなんだからそうだろ)
- 印刷もきれい!(希望観測を多分に含んだ推定)
- イラレとかFLASHに取り込んでもジャギら無い
- その他いろいろと後からの加工や応用がしやすい(はず)
難点をあげるとしたらこんな感じ。
- とにかく容量がアレ
- プレビューでは一発で複数ページのPDFとして保存できず手間
- ベクター化なんで当然OCRされずテキスト埋め込み無しで当然ながら内容の検索はできない
- スクリーントーンなど網カケとか多角部分にど細かいディテールは「丸め」られるので色調が変わる
暫定のコツとしてはこんなところ。
- 許される限り取り込みは高解像度であると潰れ難い
- 画素数が大きいほどCocoapotraceは標準設定でいけそう
- 小さい画像はトーンやモアレが飛びやすいのでしきい値を少し上げる
- PDFにすると太るので母艦ではeps保存が良いかも(TIFFは当然廃棄)
あとの宿題はこんな感じ。
- どのくらいの解像度(デバイス環境)を想定してポイント数の最適化が出来れば良いのか?
- あとひと手間くらいなら増やしていいから軽くしたい
- グレースケールがいいか白黒で敷居値を調整するのが良いか...
- カラーはどうすんべ?
スマホやタブレットにローカル保存は厳しいね。