Waze Meet up JPN
開催からずいぶんと日が経ったけど、今更ちょっとまとめてみる。実家泊なのをいいことに長めの滞在にしてたので、暑さにやられ満身創痍で九州に戻ったらケツカッチンなスケジュールであれよあれよと言う間にお盆になったりしてたのでな。膝に矢を受けてな的な感じで。
まずは、こうした機会を設けただけでなく参加者の交通費や宿泊者の費用などを出していただいた Waze Mobile 社と、観光客が押し寄せる繁忙期に会議室のために機材とスタッフを割いていただいたヴィラフォンテーヌ汐留に感謝。
あと、主な議事についてはイーノック ... じゃなくてm6uさんがこちらにまとめてるので、「いちばんわかりやすいのを頼む」方はご参照あれ。会場の雰囲気はJuneYamamotoさんのYouTubeを。
進行には正直不安なところもあった。20名弱という人数もあって残念ながらwaze社のスタッフが来日できなかったし、何より内容がはっきりしてなかったので。でも、議事についても即席ながらいくつか出して掘り下げられたし、マップレイドチャンプのtakaさんが頑張ってまとめてくれたおかげで、結果としては満足できるものだったと思う。もちろん皆の協力も大きく、顔合わせとしては大成功だ。
またMeet upを出来ると嬉しいけど、もう少し参加者を増やして行けるか ? カーナビ普及度の高い日本でwazeを使っている我々はこのサービス(私見ではローンチからそれなりに経年しているのでスタートアップとは言い難いけど)のアーリーアダプターとしてただ使う以上のロール...エバンジェリストというよりグールーかな?...に踏み込むかどうかという選択がありそう。
いずれにしても、このMeet upが日本独特の道路事情や交通システムをどうwazeで表現するかというWG的な側面も持って、アジェンダをしっかり消化できるようになれたら最高だと思う。
感想はそれくらいにして内容について ... といっても、前述の通り経過した内容なので当時は思いつか無かった私見も交えて、適当にピックアップしてみよう。
分岐処理問題
道路端内耳に分岐を通過する際、所謂「道なりの直進」が音声では「(右|左)折です」と案内される。以前Twitterでも教授いただいたのだけど、道路種別のランクを下げ ( これについては後述 ) て道路名を変更するなどすれば解決する。「分岐」ではなく「違う道路」にするというのが味噌のようだ。
このあたりは道路のベクトルと接続を示すメタ情報とアルゴリズムにも関係するのだと思うけど、wazeの特性(仕様)としておくしかないと思う。同じ格の同名道路が分岐した場合、角度判定とは別に「本道」とする関連性フラグを追加するのがスマートだけど、それだけで扱うデータは増大するし経路検索のコストが増える。要件と応答性を天秤にかけた結果出来上がるアルゴリズムは各社のノウハウだから、変更は一筋縄ではいかないと思うし。
議題にもなった、高速道路のジャンクションで分岐道をあえて「高速道路出入口」という一般道との接続に使う道路種別にして回避する手法は、見た目にはスマートではないけど解決法としてはスマートだ。スピードを出せる道での案内なのだから、安全面を考えたら惑わすようなガイドは避けるべきだと思う。その意味ではこの選択は正しいだろう...見た目はアレだけど。
案内音声問題
ただし、「高速道路出入口」は道路のランクが低いためか時速60キロを越すと表示が省略されてまう。これは分岐処理とは別の問題なのでwazeの改善待ちとなるところか。オプションで消すかどうか選べるといいかもしれない。
分岐処理に付随したものとしては、高速「ランプ」が音声では「出口」と言われてしまう。入り口専用でも音声は「出口」となる。これは「ランプ」の浸透度にもよるのか...首都圏では道路情報でちょくちょく耳にするけど、地方になると交通情報をそもそもそんなに耳にしないので、「ランプ」という言葉すら知らない人が確かに多い。まあ、スマホ率も低いから気にしなくてもいいのかなー ? ランプと言ってくれれば解決のような。
人口に対する運転者(免許保持者≠車保持者)の割合が少ないけど母数が多いので車の量も多い都会と、高齢まで運転者(免許保持者≒車保持者)の割合は非常に高い車社会だけど人口が少ないので実数は都会に及ばない地方と、事情は色々あるものね。でも、交通ルールも用語も全国統一なんだぜよ。
分岐道路に「方面名」や「接続道路名」を入れるテクニックはなるほど ! の一言。ただ、これもある程度のフォーマットを考えておいたほうが統一性を持てて良い気がする。うん、気がする程度。
道路種別問題
現在の道路種別は以下の通り。
- 幹線道路
- 高速道路/都市高速
- 一般有料道路
- 国道
- 出入口(高速)
- 道路
- 地域の主要道路
- 生活道路
- その他-走行可能
- 未舗装道路/泥道
- 駐車場 道路
- 走行非推奨 (路地/私道)
- Ferry
- 走行できない道
- 鉄道
- 登山道/遊歩道
- 階段
- (未使用)
- 滑走路/誘導路
まず、これが道路ランクとして序列になっているとは知らなかった。いくら国道とか道路の「格」は考慮しても交通量とは一致しない ( 酷道や階段国道みたいな例もあるし ) から、この選択肢はせいぜい記号的な意味しかない表示の区別だと思っていたんだけど、実は優先順位があるのだと分岐の音声案内でわかった。
となると、色々と考慮した選択肢が欲しくなるけど ... ここで会場にひとつの言葉が降ってくる。
「道路はシンプルにつくれ」
なるほど、確かに。解釈と運用でカバーできるアイデアがあればいいんだわ、利用者に負担が少ないのが理想だけど。これは日本のマップエディターに課せられた長い課題になるかもしれない。この序列がルート選定に序列が関わるのなら、道路格か幅員か交通量かなにかしらの切り口を模索して次のMeet upへとつなげていくのが理想だろうか。実証実験も必要になるだろう。会場で提案があった「サンプル都市」が欲しくなってくる。
すぐに結論は難しいけど、今ぼんやり思うのは...『幹線道路を有料道路にして国道をはずす』『高速道路と都市高速を分離する』『出入口(高速)を接続またはランプウェイにする』『道路を一般道にする』『一般道は幹線道路, 主要道, 生活道路, 路地の四段階』『走行非推奨はそもそも掲載の必要がないので削除』なんてところだろうか。
こういうのの区分が非常に悩ましい。
例えば、うちの近所には「幅員が狭く普通自動車でも対面にはスクールゾーン指定で児童が歩くセーフゾーンとなっている路側帯を走行に使うのが前提で時速30キロ制限だけどバス道路で付近に開通したバイパスからの流入で交通量がとても激しい」という路地みたいな道路だけど生活道路でもありバスが通る主要道なんてのがあるんだけどね*1。現行の種別だとどうしようもない。生活道路にしてるけど。
余談で、ルート選定は実走データの蓄積による交通量を元にしたアルゴリズムという推論もでていたけど、これについてはちょっと可能性が低い気がする。日々ユーザーが編集し増減するノードに追従して実走ログの分析から道路に優先度を割り振るというのは、CPUのコストも大きそう。そう、きっとアルゴリズムもシンプルだ*2。走行ログはユーザーが確認する程度や編集エリアのために残しておく程度のものだと思う。せいぜいGPSと道路情報とのズレをみて地図の問題を判定する程度ではなかろうかと思う。
あと、登山道/遊歩道は不要論もあったけど、私はこれに必要の立場を表明した。筑後川河川敷や百年公園などでは、遊歩道の柵を外して奥の駐車場に誘導するイベントが結構あるのだ。wikiをみると路地が該当するようだけど、非推奨ではなく普段は走行不可(制限)だし、でも一般道路との接続を示しておきたい臨時道路のために残しておきたいというところ。ただし、登山道/遊歩道という呼称であるべきかどうかは別だけど。
その他
会場では提起されたものではないけど、テーブル単位で出された意見からいくつか。かなり漏れてるけどだいたいこんな感じ。
- 道路を新規に引いた時に市町村の入力がめんどい
- 高さの基準は? (ex:地上1Fと階層1の違いは?)
- 道路名の表記「号線」「号」どちらが多い?
- 「緑地」が欲しい
- 「無名の道路」をdefaultにして欲しい
- 道路種別のdefaultを選びたい
- 市区町村の境界線おかしいんだけど直せないの?
- 複線の交差処理
- エリアとスポットの使い分けどうしてる?
建物の「エリア」については、ただの中心点と思っていたターゲットアイコンがナビの誘導地点となるらしいので、入り口に設置すると良いとのアドバイス。なるほど、これを敷地内の建物に置いていたからいつまでもナビが「付近に到達しました」ではない現象が起きていたのか...囲いがある場所なら門、でなければ敷地の外の駐車場などに置くと良いのだろう。となると、入り口が広くて限定されてないもの ... コンビニやガソリンスタンドはスポットで、遊園地や学校などはエリアというのはそれほど間違ってない模様。
こうした「自分どうなんだろう」という周囲との確認にもMeet upは有効だ。本来は公式にあるwikiが指針となるところのようだけど、日本のwikiはそれほど整備されたものではないようだ。「ようだ」というのも、実はwikiの存在を知らなかった。公式blogの記事は見た記憶があるんだけど。takaさん曰くには「やったもの勝ちだからどんどん書いていくほうが良い」とのことだった。
しかし、wikiの前に自前で少し整備してみようかと思っている。前に書いたことと矛盾するようだけど、用語や種別の解釈は統一すべきとしても線の引き方や接続の処理は地域事情を加味されるものという気がしてる。運転でいう「松本曲がり」や「サンキューハザード」の解釈とかそのへんみたいに、地図表記の方言があるのは自然だと思っているんでね。まずは、自分のエリアではこうしてるよ ? みたいな自分指針を。
どこまで時間がとれるかわからないから作らないかもだけど。 (実はwikiが苦手なだけというのは内緒だ)
Meet upでの「気づき」はだいたい、こんなところだろうか。自分の編集エリアで試しに一箇所やってみた。
複線は衛星写真の実道路に沿って綺麗に作るよりは、幅員めいっぱい広げるようにしたほうがスマホの画面上では良さげ。右折レーンには道路名に方面名と右折レーンという表記を加える。道路種別を生活道路にし、角度も大げさにつけてみるなど。さて、これでどうだろうか。今度、走ってみようかと思う。結果が良かったらこれで広げてみる。
あと、余談だけど。他所のカーナビ用の編集ソフトを検索してみたらデータウエストがひっかかった。うわー、懐かしい、8bit時代にゲーム作っていたメーカーと同じかな?って確かめてみたけど間違い無さげ。広報のSさん*3とは何度かフェアでご一緒したなあ。あの頃のソフトハウスはNECや富士通のフェアの後に何かと飲み会で大暴れしてたもので。