テレビは悔しがらない
とあるYouTube配信で同時接続視聴数が20万人くらいを記録していて「テレビ(局)は悔しがってるだろうなぁ」という感想を言っていたので「それはないんじゃない?」と返した。テレビは視聴率で語るので、分母が大きい地域で推定視聴数を算出すると実数よりはるかに大きな数字を叩き出すからなんだけど。
視聴率の根拠となるビデオリサーチの調査だと、関東というざっくりとした範囲で調査対象は2,700世帯(これでも増えたのだ)。対して総務省統計局による2020年の人口統計では関東1都6県で2,013万世帯で、仮に調査対象270世帯が観ていて10%の視聴率とすると201万世帯が視聴していたとみなされる。
1世帯が単独・2人・4人と構成比も考慮したいけど、関東は世帯平均2.14人なのでここはざっくりと2人に均すと402万人が視聴したという計算。推計人口が4,365万人なのでその10%だと436万人だから、そんなにかけ離れた数字ではないんじゃないかな。
400万の同接接続が記録されるYouTube番組なんてなかなかないと思う。確か同接ランキングでは130万ちょっと。もちろんこれはこれで凄いけど、テレビの視聴率と比べられると世の中が単独世帯だけだったとしても負けてしまう。だから、テレビ関係者にとってはネット配信はテレビより影響力の無い「格下」メディア扱いなわけで。
極論だけど、誰も興味が無くて関東2,013万世帯のうち「たまたま調査対象だった270世帯」にしか見てもらえなかった番組があったとしても、視聴率は10%だから約200万世帯として推定400万人にリーチしています! と業績に残し企業にCM出稿を促すのが視聴率。絶対に悔しがるわけないよね。
かと言ってネットの動画配信が「取って変わるもの」って感じでもなさそうなんだよなぁ。ラジオが始まった頃の演芸界隈、テレビが始まった頃の映画(と芸能)界隈、小説が出て来た頃の文豪界隈、色々あったろうけどそれぞれの持ち味があって生き残っている形がより強くなって、「頂点と思わしき席捲する立場が消える」ことで細分化されたお互いにネタを切り取り合う世界ができそう。まあ、経済活動的な優劣はつくだろうけど。